ピアノと言えば、安くない買い物です。
せっかく買うなら「いいピアノ」がほしい!と思いますよね。
そこで今回は、
いいピアノってどういうピアノなの?についてです。
目次
いいピアノは弾き手を育てる!
そもそも「いいピアノ」ってどんなピアノなのでしょうか。
私が基準としているのは
「弾き手を育てる」ピアノであるかどうかです。
弾き手を育てるってどういうこと?
ピアノが弾き手を育てるというのは、
そのピアノを練習することで、身体的な技術が身につくだけでなく、
多彩な音色を操る力が付き、一つ一つの音への集中力を鍛えられ、
芸術的な表現力が磨かれることです。
それを判断するのに指標としているポイントは
大きく分けてこの2点です。
- 弾きやすさ
- 音色の良さ
それぞれ詳しく解説すると、
弾きやすさとは?
アクションの動作性が良く、弾き手に対しての反応が良い。
具体的には高速の連打や細かいパッセージに応えてくれる鍵盤の戻りの早さなどです。
いい音って?
鳴りがよく、多彩な音色を持っていて、
打鍵後からの音の伸びが良いことなどです。
これらを表にするとこんな感じです。
そうすると、①~④に棲み分けできます。
では、この①~④のどのピアノを選べばよいのでしょうか。
④の「弾きやすさも音色もいまいちなピアノ」は説明するまでもなく選ばない方がいいです。
①の「弾きやすく音色も抜群なピアノ」はもちろん文句なしの「いいピアノ」で素晴らしいですが、当然高価になりやすいです。
※ただし、高価なピアノ=①ということではありません。
奇跡的にお買い得な①のピアノに出会うこともありますが、かなり稀です。
なので、現実的に購入を考えるとなると②か③になると思うのですが、
では、
②「音色はいいが弾き心地に癖があるピアノ」
③「弾きやすいが音色はいまいち」
この二つならどっちを選ぶのがおすすめかというと、
答えは圧倒的に②の「音色はいいが弾き心地に癖があるピアノ」です。
いいピアノを選ぶべき理由
普段②③どっちのタイプのピアノで練習しているかは、
その人の演奏を聴けばすぐにわかります。
そのくらい実力に差が生まれるのです。
ここでいう「実力」とは、芸術的な表現力のことです。
②のピアノでは、
正しいタッチで弾けばよい音が出て、
まずいタッチで弾けば理想とは程遠い音が出るので
自分のタッチをごまかすことができず、非常に良い勉強になります。
このようなピアノで普段練習を積むと、
発表会や弾きあい会などで、他のピアノを弾いたときに
あまりの弾きやすさにびっくりするほどです。
それに対して③は、アクションが弾きやすいために
指が楽譜通りに動いただけで弾けたような気になってしまうことがあるのです。
という話を聞いたことはないでしょうか?
これは、自宅のピアノで弾けたような気になってしまって実力が育たず、
他のピアノでは、まったく歯が立たなくなってしまっているのです。
ピアノ音楽とは、指の運動ではありません。
指だけ楽譜通りに動いても、意味がないのです。
おすすめメーカーは?
先にあげたシュタイングレーバーはとてもおすすめですが、
非常に高価です。
(シュタイングレーバーの詳細はこちらの記事)
その他のメーカーはどうかというと、
年代や個体によってコンディションが違うので、
一概にこのメーカーがおすすめとは言えません。
また、好みの問題もあります。
が、手作りでピアノを作っていた戦前のピアノは、
いいピアノが多い傾向にあります。
いいピアノの選び方
実際にいいピアノを選ぶ唯一の方法は、
- とにかくいっぱい聴く
- とにかく1台でも多く試弾する
- とにかく音色で選ぶ
残念ながらピアノは、「このメーカーのこの時代のこのモデルを買えば間違いないよ」と
一概に言えるものではありません。
今はYouTubeで、たくさんのメーカーの音色を無料で聴けるよい時代です。
それらをたくさん聴いていくうちに、よい音色や自分の好みの音色がわかってきます。
自分の好みがわかったら、遠慮せずにジャンジャン試弾に出かけてください。
もちろん、楽譜を持ち込んで何時間も占領して弾いていたらまずいですが、
音色が確認できるような音数の少ない短めの曲を1曲暗譜しておいて、
1台でも多く試弾するのがおすすめです。
そうすれば、
あなたの運命の1台に出会ったときに、「これだ!」って
必ずピアノが教えてくれます。
このサイトは、
価値を気づかれないまま可哀そうな運命を辿るピアノを1台でも減らしたい、
誤った選択でピアノ購入を後悔するピアノオーナーを一人でも減らしたいという想いで始めています。
この記事が参考になれば嬉しいです。
もし、それでもピアノ選びが不安だという方は、
プロピアニスト兼ピアノ研究家の先生が、ピアノ選定のご依頼も受けていますので、
こちらからご連絡ください。
希少なエラールのベビーグランド
最後に、最近出会った「いいピアノ」の紹介漫画と、実際の動画です。
こんなスパルタなピアノでも、弾き手が正しく弾けばこんな音を聴かせてくれます。
まるでエフェクトをかけているように聞こえますが、一切エフェクトはかけていない、このピアノ本来の音です。
ぜひイヤホンなどで楽しんでください。