
突然ですが…
「脱力…できていますか?」
- 脱力ってどうやるの?具体的な方法が知りたい
- そもそも脱力ってどんな状態なのかわからない
- 脱力できてないから腕や手が痛くなって長時間練習できない
という声が聞こえてきそうです。
「憧れの曲に挑戦したいけど、あの部分が弾けそうにないからなぁ…」
など、諦めていませんか?
中級以上になると、
脱力できていないと弾けないパッセージなどが増えてきますよね。
脱力ができない原因はいくつかありますが、その原因のひとつとして、
今すぐ簡単に直せるものがあります。
それは、「座り方」。
「なんだ、そんなのできてるよ」って思う人もいるかもしれませんが、
これ、中・上級者ほど間違っている人がほんと~~~に多い。
特に、
- 子どものころから習っている人
- もしくは子どものころに習っていて大人になってから再開した人
は要注意です。
その理由も含めて、今回は正しいピアノ椅子の座り方を
具体的に順を追って解説します。
- 体に余分な力を入れなくても弾けるようになる
- 疲れにくく、長時間の練習ができるようになる
- 重心がぶれず、指先やペダルのコントロールが良くなる
- 音色が良くなる
この記事で紹介する手順は、プロのピアニストである「先生」にも
間違いがないかチェックしてもらっています。
では、早速解説していきます!
目次
【大人のピアノ練習法】脱力できない?今すぐ簡単に直せる方法はこれ!
1椅子の高さは大丈夫ですか?
まずは、自分の体の大きさに合った椅子の高さを探します。
①椅子に座る
座った時に、股を自由にパカパカと開いたり閉じたりできる位置に腰掛けます。
②背筋は自然に
骨盤がまっすぐ座面に乗っていれば、背筋は一番自然な状態で大丈夫です。
骨盤が前に傾いていたり、反り返ったりしていなければOK。
③肩の力を抜く
一度肩に力を入れてから、一気に力を抜いて腕をダランとおろします。
④そのまま肘の位置を動かさずに、肘から先を床と水平になるように上げます。
⑤このとき、手と鍵盤がちょうど同じ高さになるのが、
あなたの体に合った椅子の高さです。
2ピアノとの距離をなんとなく決めていませんか?
次に、自分の体の大きさに合った、ピアノからの距離を探します。
①膝から先が床に対して90度になるように足を置きます。
②そこから足の裏の半個分、(膝がピアノに当たってしまう場合は、親指の付け根の一番骨が出っ張っている所にかかとがくる位置に)右足を前に出します。
③このとき、足の親指と人差し指の付け根辺りでペダルを踏める位置が、
あなたの体に合ったピアノからの位置です。
3腕の重みが垂直にかかっていますか?
腕の重みが床に対して垂直にかかっているかをチェックしてください。
特に、肘や手首が外側に開いていると、腕の重みを垂直に無理無駄なく鍵盤に伝えられず、
力みの原因になります。
鍵盤は叩くのではなく、腕や手の重みを垂直に鍵盤に乗せるイメージです。
フォルテは「打鍵の強さ」ではなく、「打鍵のスピード」。
力を入れて鍵盤を叩く必要は全くないのです。
4左足の裏、べったりと床についてませんか?
次は、足の置き場です。
右足はSTEP2ですでに正しい位置にあるはずなので、
左足も同様に、親指と人差し指の付け根辺りでペダルを踏める位置に置きます。
よく
「左足のべダルは踏みなれてないから、いざ使おうとするとすごく探しちゃう」
「探してる間に体がぶれちゃって、手元が…」
って会話、耳にしませんか?
体がぶれるってことはないんだよね
巨匠たちが左足をペダルに置いたり引いたりしているのは、
自分の体重を支えるためではないし、
重心がしっかり安定しているから可能なので、
自分の座り方に自信がつくまでは、真似しない方が良いでしょう。
また、体がぶれるってことは、重心が正しい位置にないということです。
というわけで、最後は…
5重心の場所、意識してますか?
よく「重心は丹田(たんでん)を意識する」と書いてあるのを目にしますが
丹田って、へその下あたりのことなんですけど、
いきなり丹田を意識するのって簡単じゃないんですよね。
だから私はこうしています。
①息を吐き切る(横隔膜を下げる)
②座っている座面と床の真ん中あたりに、自分の体重が乗っているようにイメージする
これで重心は安定します。
この方法、普段からやっていると、本番で緊張した時にも役立ちます。
「緊張」を「あがっている」って表現したりしますが、
つまり「横隔膜が上がっている」ということなんです。
だから、こうやって息を吐いて横隔膜を下げ、重心を下げるだけでも緊張はだいぶ和らぎます。
(本番で緊張しない方法は、また別記事で詳しく解説します。)
巨匠たちの音色が美しいのも、音色のバリエーションが豊富なのも、
指先のコントロールがうまいのも、ペダルコントロールが抜群なのも、
これらすべてが揃ってこそで、
巨匠たちが上半身を微動だにせず弾くのは、
力が入っているのではなく重心が安定しているから。
中・上級者ほど間違いやすい理由
冒頭で、中・上級者ほど誤った座り方をしている人が多いと言いました。
特に子どものころから習っている人、または、
子どものころに習っていて大人になってから再開した人に多いんですが、
何でこういう人が誤った座り方をしがちなのか、イラストで説明します。
A:子供のころ。正しい座り方を教わる
B:成長期。体の成長とともに肘が上がり始め、上半身は前傾し始める。前傾した分の体重を支えるために、椅子と左足を引いて体重を支え始める。
C:大人。更に肘の位置が上がり、それとともに上半身はより前傾。その体重を支えるためにもっと椅子を下げ、左足の支えなしでは体重を支えられない。これにより、肘も膝も伸びきった状態で脱力が不可能。
このように、体が成長しているにも関わらず、子どものころに習った椅子の高さのまま弾き続けている人が多いんです。
だから中・上級者に誤った座り方の人が多いんですね。
今の体形で最初に正しい椅子の高さを学ぶからなんだ
違和感は慣れる
これまでの慣れた座り方を変えると、最初はとても違和感があると思います。
でもそれは弾きづらいのではなく、慣れの問題。
慣れたら、絶対にこちらの方が弾きやすく感じるようになります。
脱力できている時の上半身の感覚を知るにはこれ
脱力ができない人にとっては、
脱力できているときの上半身がどんな感覚なのか、未知の世界ですよね。
目指す感覚がわからないと、どこを目指して努力していいかわからないものです。
そこで、疑似的に脱力している上半身の感覚を体験する方法をご紹介します。
①腰を浮かせて中腰になる
②この状態で弾いてみる
※このとき鍵盤に上半身をよりかからせない
こうすると、少し上半身に力が入れづらくなり、疑似的に上半身の脱力状態を少し味わうことができます。
今回はここまでです。
いかがでしたでしょうか。
もし、今までの座り方は間違ってたって場合は、
ぜひ今日から正しい座り方で練習してみてくださいね!
正しい座り方を手に入れて、憧れのあの曲に一歩近づきましょう!
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