今回は
ピアノの購入で、スタインウェイを視野に入れている人に向けて、
・スタインウェイ購入のメリットデメリットは?
・中古ってどうなの?アップライトとグランドどっちがいいの?
こんな疑問に答えます。
プロのピアニストでピアノマニアの彼(先生)に連れられて、
年間100台を超える台数を弾いている私が、
実際に触った感想を、イラストや漫画にしてわかりやすくお伝えしています。
本記事の内容
・スタインウェイ購入のメリットデメリット
・新品と中古、アップライトとグランドの違いについて
・後悔しない選び方
実際の音色が聴ける動画もご紹介。
このシリーズでは、自分がいいピアノだと思った個体しか紹介していません。
ピアノ購入を考えているあなたが、一生を共にする運命の1台に出会える参考になれば嬉しいです。
目次
スタインウェイの特徴
特徴
- 華やか
スタインウェイの特徴はた~くさん書きたいことがありますが、
やっぱり最初に挙げるとしたら、その音色の華やかさですね!
- パワーがある
これも、スタインウェイの音色を表現するには絶対にはずせないポイントです。
ホロヴィッツのあの爆撃のような音は、スタインウェイのパワーを
余すところなく引き出していてさすが。
アップライトでも、下手なグランドよりパワーがあったりしてビックリします。
- 弾きやすい
アクションはとても弾きやすいです。
個体にもよりますが、タッチを軽く調整しているものだと、羽のように軽く
本当に弾きやすくて、個人的に弾き心地は非常に好き。
製造年代にもよりますが、
ニューヨークスタインウェイなんて鍵盤に指が触れるだけで
フォルテッシモが出るくらいパワーがすごい個体がいます(笑)
ホロヴィッツのあの美しい弱音は、どうやってコントロールしていたのか、不思議でなりません。
- 製造年代により個性は異なる
スタインウェイに限ったことではないですが、メーカーによっては製造年代ごとに
材料が違ったり、設計が異なったり、製造している工場が変わったりで
音色の個性が全く違ったりします。
スタインウェイもそのひとつ。
スタインウェイの場合は、「華やかでパワーがある」という音色の傾向は共通しているものの、
その表現の幅が違うかなという印象です。
年代ごとの音色の個性を知る方法としておすすめなのは、
その年代ごとのスタインウェイアーティストの録音を聴いてみることです。
例えば、
戦前…パデレフスキー、ホフマン
戦後…ルービンシュタイン、ホロヴィッツ、フランソワ
現代…ポリーニ、キーシン
などなど。
大事なのは「どこどこのピアノだから」と盲目的に買ってしまうのではなく、
必ず試弾をして、「このピアノの音が好きだから」と、
あなたの好きな音色をじっくり時間をかけて選ぶことです。
運命の一台に出会ったときは、絶対にビビッときますので、
焦らずに探してくださいね。
こんな人におすすめ
- 幅広いジャンルの曲を弾きたい人
アクションも弾きやすいですし、基本的に万能なタイプです。
- 派手な曲をガシガシ弾きたい人
音色が華やかでパワーがあるピアノなので、派手な曲は映えますね。
こんな人には物足りないかも
- 華やかな音色が好みじゃない人
これは完全に好みの問題ですね。
個人的にはニューヨークよりハンブルクスタインウェイの音色の方が好みです。
- 伴奏や室内楽をよく弾く人
スタインウェイはオーケストラと対等に戦えるパワーと音色を持っているので、
正直、伴奏には向きません。
スタインウェイ購入のメリットデメリット
メリット
- 出会いやすい
どこのピアノ屋さんに行っても、まずスタインウェイがないってことはないですね。
その分、たくさんの選択肢から選べるというメリットはあります。
- 他メーカーと比べて値段が下がりにくい
万が一、買い替えや、やむを得ない事情で手放さなければならなくなっても、
スタインウェイは人気があるために、他メーカーと比べて値段が下がりにくいです。
とはいえ、車のように元の値段より大幅に上がるということはないですが。
- 扱える調律師が多い
ピアノは買って終わり、ではないので、調律師さんとの相性もとても重要です。
その点、スタインウェイを扱えないという調律師さんはまずいないので安心ですね。
デメリット
- 値段が下がりにくい=デメリットでもある
値段が下がりにくいということは、中古でも高価であるということなので、
購入の際にはデメリットにもなります。
■価格帯
>新品:グランド900万円台~、アップライト500万円台~
>中古:グランド500万円台~、アップライト200万円台~
※中古はよく見かける価格帯を目安にしています。
工房に出入りしているとたまに「いいの?」って値段の掘り出し物に出会ったりしますが
繋がりがないとそんなラッキーに出くわすのはなかなか難しいでしょう。
- 狭い部屋には向かない
広いホールなどで弾くことを前提に作られたピアノなので、日本の狭い家だとパワーを持て余します。
新品と中古、アップライトとグランドの違いについて
- 中古ってどうなの?
- アップライトとグランド、どっちがいいの?
中古って大丈夫?
結論から言うと…問題ないです。
スタインウェイの場合はむしろ、個人的には中古をおすすめします。
「中古」という言い方はあまり正確ではないので言い換えると、
1960年代くらいまでのものがおすすめかなと。
理由としては、上にも書きましたが、
年代ごとにだいぶ音色が異なるからです。
まぁ、ここも好みですね。
中古での不安と言えば、
・素人が選ぶのは怖い、すぐ壊れたりしないか
・変な癖がついていたりしないか
辺りだと思うのですが、
よっぽどいい加減な修理をされたピアノを掴まされない限り、
ちゃんとメンテナンスしてあげればピアノはそうそう壊れません^^
また、前オーナーの癖の原因は、ピアノのメンテ不足や故障によるものです。
腕のいい調律師さんと相談しながらしっかり調整していけば問題ないです。
「欠陥品を見分けられないから不安なんだよー」という声が聞こえてきそうですが…(笑)
ピアノの選び方はまた、別の記事で詳しく解説したいと思っています。
もし、今すぐピアノが欲しくて、ピアノ選びが不安な方はこちらからご相談ください。
プロピアニストでピアノマニアの先生が選定をお手伝いします。
アップライトかグランドか?
これに関しては結論、どちらもアリと思っています。
理由としては、アップライトでもグランドでもいい個体は見つけられるからです。
スタインウェイの場合は、アップライトでも下手なグランドを凌ぐ
ダイナミックな音色を持った個体もありますしね。
「それでもアップライトは弾きづらいって聞くし」という意見もよく聞きますが、
確かにアクションの設計が全く違うので、弾き心地に違いはありますが、
スタインウェイに関しては、アップライトだからといって「弾きづらい」と感じたことはないです。
すごく弾きやすい、いいピアノだと思います。
というわけで、アップライトかグランドかというよりは、
自分が気に入るかどうかで選ぶことが大事かなと。
ヴィンテージスタインウェイのアップライトレビュー
では、
「古くても」「アップライトでも」これだけ素晴らしいというのが伝わるよう、
私が実際に弾いたことのあるアップライトのスタインウェイから2台、ご紹介します。
※動画はエフェクトを一切かけていない、生の音です。
■ニューヨークスタインウェイ モデル名不明 1893年製
記事も長くなってきたので、息抜きにこのピアノの物語を漫画でお楽しみください。
このピアノの実際の音はこちら。
■ハンブルクスタインウェイ モデル名K型(136cm) 1931年頃製
続いては、ハンブルクスタインウェイの動画です。
いやぁ…つくづくどちらも素晴らしいピアノです。
後悔しない選び方
- どこで買える?
- 選び方は?
どこで買えるか
スタインウェイは本当にどこにでもありますね。
どこにでもある分、焦らずにじっくり
あなたが気に入る個体に出会うまで探すのがいいかと思います。
選び方は?
細かく書くと、それだけで記事ができちゃうので(汗)
別記事にまとめようと思っていますが、
基本的に大事なことは、
①自分の好きな音を知る
②ピアノのことを知る
③とにかくたくさん試弾する
④詳しい人に相談する
だと思います。
自分の好きな音を知る
ピアノ選びで一番不幸な結果になりがちなのは、
「評判がいいから」「有名メーカーだから」「店員さんに勧められたから」などで
「なんとなく勢いで」買ってしまうことです。
ピアノを選ぶときは「自分が好きな音だから」の部分がブレないように
自分の好きな音を知っておくと失敗しづらいです。
たくさんの音源を聴いたり(今はYouTubeという便利なものがありますしね)
色んなお店に行ってたくさんのピアノに触れることで、
段々と自分の好みの音が分かってくるようになります。
ピアノのことを知る
車を買うときにも「燃費は?」「安全性能は?」など
色々と調べますよね。
粗悪な個体を買ってしまわないように、響板やフレーム、ピン板などなど、
最低限チェックすべきところは、知っておいた方がいいでしょう。
詳しくは、後日改めて記事にまとめますので、
気になる方は記事下のプロフィール欄から、SNSをフォローしてみてください!
記事の更新情報がわかります~
とにかくたくさん試弾する
これも車を試乗するのと一緒です。
どんなに周りの人に勧められても、自分が気に入らないと
買った後に、あなたもピアノも不幸になってしまいます。
とにかく、あなたが「このピアノ好き!」と思えるピアノに出会うまで、
根気よく探すというのが一番。
しつこく書きますが、運命の1台に出会ったときは、絶対に!わかりますから。
詳しい人に相談する
「ピアノ選びで絶対に失敗したくないけど、やっぱり素人だと音の違いが分かるか不安だし、
忙しくてじっくり探してる時間がないなぁ」
という場合は、思い切って詳しい人や信頼できる調律師に相談するのがいいと思います。
よく、習っている先生や楽器店に相談しようって書いてあるのを見かけますが…
うーん…あまり大きな声では言えないですが…
ぶっちゃけ、ピアノの先生で、ピアノという楽器そのものに詳しい人はほとんどいませんし、
大手の楽器販売員さんは基本的に素人とほとんど変わりません。
例えるなら、
ピアノの先生は「仕事でPCを使うけど、PCそのものは詳しくない」というのと一緒の感覚ですね。
販売員さんは、家電量販店と同じで「マニュアルで知っていること以上の知識は持っていない」のと一緒です。
ご相談はこちらから。
今回は以上です。
ピアノは大切に使えば人よりず~っと長生きする、一生モノの買い物。
後悔するオーナーさんや、可愛そうなピアノが少しでも減るように、
当サイト(ねこぴあ.net)では、これからもピアノ購入に関しての
情報を発信していきます。